【ダービー】歴史的逆襲!ロジユニ父子制覇!
「第76回ダービー」は31日、ダイシンボルガードが勝った69年以来、39年ぶりに不良馬場で行われた。2番人気のロジユニヴァースが直線3番手から内ラチ沿いを抜け出し、後続に4馬身差をつける圧勝で06年生まれのサラブレッド7768頭の頂点に立った。父ネオユニヴァースに続く史上5頭目の父子制覇を達成した。皐月賞に続く2冠を目指し、1番人気に支持されたアンライバルドは道悪馬場に泣かされ、見せ場なく12着と敗れた。
信念。いや、萩原師の執念が結実したロジユニヴァースの戴冠劇だった。歓喜のゴール後、検量室前では普段は見せない笑みを浮かべていた。昨夏、ロジの栗東留学に同行した大竹師(当時は助手)や最終追い切りの大役を務めた中谷とガッチリ握手。久米田正明オーナーが「大変なことをやってくれた」と歩み寄ると歓喜の抱擁。そして、引き揚げてきた横山典としっかり手を取り合った。
「まあ、ホッとしているというところです」
表彰式を終え、会見に臨む萩原師は、いつもの冷静沈着な“仕事人”に戻っていた。まさかの皐月賞14着大敗から1カ月。なぜ、負けたのか?どうしてだ…。勝たせてあげられなかった後悔と、自問自答の日々が続いた。皐月賞後は放牧に出た愛馬の姿を見に連日、美浦~宮城・山元トレセンを往復した。皐月賞で10キロ減らした体を逆に16キロ増とアップさせて挑んだ夢舞台。結果は圧勝という答えを出して結実した。
「皐月賞?悔しいというより、仕事に失敗したという思いが強かった。体を増やして出すのは最低限の仕事。皐月賞の敗因がつかめない面があったが、この勝利を見るとはっきりした。具体的にはトモ(後肢)の状態と踏み込みの問題。厩舎スタッフ、牧場の方が僕以上に苦労されている。横山ジョッキーに感謝しています」。指揮官はニコリともせず、冷静に言葉を続けた。
確信を持てぬまま挑んだ雪辱戦。横山典も「自信が持てなかった。まさか勝つとは思わなかった」と偽らざる本音を吐露した。馬体回復に専念し、横山典を背にしたWコースの1週前追い切り後は坂路中心のメニューに変更。念には念を入れ、通常の当日輸送ではなく、前日の土曜輸送で競馬場入りし、万全の策を施した。
開業14年目でのG1初制覇が、なんとダービー。現役10人目のダービートレーナーの仲間入りにも、浮かれる様子は全くなかった。
「ダービーにかかわらずG1を早いうちに獲りたいとは思っていたが…。自分の中では皐月賞の敗因が浮き彫りになったと思う。この馬の正常な姿をつかめたので、さらに良くして秋も頑張っていきたい」。師は深々と頭を下げて結んだ。今後は山元トレセン→北海道・ノーザンファームでご褒美の夏休み。03年ネオユニヴァースに続く父子V。父と同じ道悪舞台に躍った孝行息子には、父が果たせなかった菊花賞(10月25日、京都)獲りの大きな仕事が待っている。
◆ロジユニヴァース 父ネオユニヴァース 母アコースティクス(母の父ケープクロス)牡3歳 美浦・萩原清厩舎所属 馬主・久米田正明氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績6戦5勝 総獲得賞金3億1499万1000円。
スポニチ引用